この段階では伴奏は既に用意されていて、DAWに存在していて、VOCALOIDの歌とも同期がとれていると仮定して話を進める。
12.で出力したWAVEファイルを伴奏と合わせて再生し、全体をとおして聞いてみる。
万一、全体が問題なくできあがっていて修正の必要がなければ、これで完成・・・だが、まずそうはなっていないと思うので、次のような修正をかけていく。ここからは、まさに1音1音との闘いになる。ここが最も時間のかかるパートである。
(1) 発音(滑舌)の不明瞭さ
リン・レンでは、カキクケコ・サシスセソ・タチツテト・ハヒフヘホ・ラリルレロ・ダヂヅデドあたりを中心に、発音(滑舌)が不明瞭、もしくは正しく聞き取れない音がたくさん発生する。ミクはそこまでひどくないが、やはりたまに発音(滑舌)がおかしくなる。
これの対策としては、次のような順で試していくとよい。(この中のいくつかは、替え歌「ラリルレロが歌えない」で自虐的に取り上げているが、実際にはうまく効くことももちろん多い)
① 二重母音
たとえば「ら」を「ら・あ」という2文字にする。最初の音(この例では「ら」)は、32分音符くらいの長さにするのが無難だが、いろいろ試してみる必要がある。後の母音(この例では「あ」)のアクセントは10くらいまで下げておかないと、本当に「らあ」と聞こえてしまうことがある。
② アクセントを強化
音符の下の線の左端をダブルクリック(または音符を右クリックで「音符のプロパティ」を開き、EXPボタンを押す)して、「アクセント」の値を+30%くらい増やしてみる。
③ ベロシティを下げる
コントロールパラメータの「VEL」を、ほとんど0になるくらい下げてみる。(一般的にはVELは上げるより下げる方が滑舌の改善には効果的)
④ ベロシティを上げる
コントロールパラメータの「VEL」を、100くらいまで上げてみる。
⑤ 前の音符を離す
直前の音符を、2/32以上、前後の発音が分かれるまで離す。割と効果的だが、その部分がスタッカートになってしまうという欠点がある。
⑥ 他のコントロールパラメータをいじる
OPEを下げると、口を閉じた感じになり、母音の「あ」音が「う」とか「お」に近くなる。
BREを上げると「息っぽさ」が上がり、ハ行の頭に高いBREを設定すると、発音が(不自然になるけど)明瞭になることがある。
BRIを上げると、声質自体が代わってしまうが、子音が聞き取りやすくなることがある。
CLEを上げると、子音の発音が強調されて発音が明瞭になることがある。
⑦ 違う発音にする
例えば「ら」を「る・あ」とか「りゃ」とか「り・あ」とかにしてみる。もっと過激な方法では、フレーズの一まとまりをいわゆる「空耳発音」に変えてしまう。
⑧ 別トラックに置く
音がつながって子音が出ないケースでは、別トラックにその音だけを移し、ぽつんと置くと発音はまともになることがある(このときも、「CTRLを押しながらドラッグ」で音符をコピーして、パラメータ設定もコピーするようにする)。ただし、音のつながりは完全に壊れる。
⑨ ミクにサポートさせる
最後の手段。滑舌の悪い音だけを、別トラックで同じ音・同じ高さでミクに発音させる。子音だけ発音してすぐに音量が下がるよう、音の長さやDYNの調整をする。ミクの声が聞こえてしまわないように注意する。(ミクはリン・レンよりも発声のタイミングが遅めなので、その点も注意。DAW上でタイミングをずらすのもアリ)
続く。